2024年の活動

2024221日 大阪府堺市で迷入死亡したマッコウクジラについて

 2024年1中旬から大阪湾ではマッコウクジラの目撃が相次いでいました。2月には堺市の港湾に迷入し、おそらく出られなくなったものと考えられます。2月18日にはSNS上で「クジラが動いていない」という情報が挙げられており、19日に正式に死亡が確認されました。そしてこのクジラは、堺市内の埋立地にて学術調査を行い、骨格標本として博物館に残されることが決まりました。
 大阪では2023年にも大阪市淀川にマッコウクジラが迷入→死亡しており、そのときは限られた調査しか行えず海洋投棄されてしまったことがあります。FSNは当時からストランディング対応の専門業者として活動していましたが、2023年のクジラには関与できず、断腸の思いで居ました。今回の個体こそは、調査を通じて、クジラの生態や死んだ原因に関する情報、未来に残せる貴重な標本が得られるものと期待しています。

 静岡に拠点を置く我々は、今回の対応事業者としては大阪府からの依頼は受けられませんでしたが、これまでの活動で培われた経験を活かさずには居られません。現地で調査する研究機関にコンタクトをとり、ボランティアとして参加することになりました。

種名:マッコウクジラ  Physeter macrocephalus
発見日:2024年1月?
調査日:2024222-23
場所:大阪府堺市堺港
性別:オス
体長:約15m
体重:約32t
対応内容:ボランティアとして学術調査に参加。22、23日に解剖を含む学術調査を行い、26日に埋却処理。骨格は後で掘り返して標本化の予定。




今回のマッコウクジラについては大阪市立自然史博物館、日本鯨類研究所、国立科学博物館を中心とした調査チームが組まれ、学術調査が行われました。調査結果は近いうちに公開されるそうです。

今回のクジラから、マッコウクジラや海の環境を理解する発見が得られることを期待しています。また学術機関だけでなく、我々ひとりひとりが、人間以外の生き物や海の環境について考えなければならない時代がきていると思います。人間と生き物、共存していくために何が必要か、この難しい課題に取り組む人が一人でも多くなればと願っています。