2021年の活動

202110月29日(
静岡熱海市ザトウクジラの引き上げを行いました。

種名:ザトウクジラ  Megaptera novaeanguliae
発見日:20211026日(
漂着場所:静岡県 熱海市下多賀 長浜海水浴場
性別:オス
体長:7.06m
漂着状況:死骸が漂着。29日に熱海土木事務所と国立科学博物館が調査採材し、埋却

漂着の発見前、23日に伊東市の沖合でクジラが漂流しているのが見つかっていましたが、この個体と同じ個体かはわかりません。市の土木事務所と協力して個体を引き上げ、国立科学博物館主導のもと解剖調査が行われました。残渣は漂着した海岸に埋却しました。

静岡朝日テレビニュース 

2021年10月22日(金)
静岡県伊東市でザトウクジラの引き上げを行いました。

種名:ザトウクジラ  Megaptera novaeanguliae
発見日:2021年10月15日(金)
漂着場所:静岡県伊東市川奈港
性別:オス
体長:7.97m
漂着状況:定置網にて混獲。

ザトウクジラは最大15mにもなる大型鯨類で、国内では10m以下の小さい個体がよくストランディングしたり混獲されたりしています。この個体も混獲で見つかり、死骸はしばらく係留されていました。その後、FSNで吊具の選定と製作を行い、地元土木業者の重機を使って引き上げました。
引き上げた後は国立科学博物館の研究者たちによって解剖調査され、解剖所見の収集や研究材料の採取が行われました。この個体については以下のネットニュースでも触れられています。

Yahoo!ニュース(22/2/9) 

ストランディング個体が実際に研究に役立てられ、人々に環境問題について思いを巡らせてもらうきっかけになると、やる気が湧いてきます。



2021年9月20
岡山県倉敷市で漂流していたニタリクジラの解体処理と骨格標本の作製を行いました。

2021年9月20日、岡山県倉敷市水島港で体長およそ12mのニタリクジラの死骸が発見されました。水島港はコンテナ船などが入出港する大きな港です。このクジラは船の先端(バルバスバウ)に引っかかった状態で運ばれてきました。外海で船とぶつかったと考えられます。
https://www.ohk.co.jp/data/12245/pages/

漂流している鯨死骸は運航の障害となるため、海洋投棄するのも簡単ではありません。この鯨体の処分についてはFSNが行政・土木業者・研究者など関係各所との間に入って調整を行いました。

9月24日に現場を確認し、引き上げ方法や解体場所、廃肉の処理方法を協議しました。クジラの体重を測るのは困難ですが、これまでの経験と有識者の見解からおよそ12トンと推定し、さらに安全を見て20トンまで吊り上げられる機材を用意しました。27日には水島港湾事務所が鯨体を引き上げ、FSNも技術指導として参加しました。引き上げた鯨体は県が所管する近所の埋め立て地で解剖調査と解体処理を行いました。

調査・解体は国立科学博物館、岡山理科大学、なにわホネホネ団(大阪市立自然史博物館)、倉敷市立自然史博物館、同 友の会など複数の研究機関や団体が参加しました。解剖調査の合間も、クジラの体勢を変えたり持ち上げたりするのは人力では到底不可能なため、重機を使います。そこで土木業者から重機をレンタルし、FSN松本も重機オペレーターとして参加しました。

当初、このクジラの骨は土に埋めて骨格標本にする見込みでした。動物の骨には筋肉が付いており、脂肪や骨髄など多くの有機物を含むため、これらを除去しないと骨格標本にはなりません。大きな動物の骨を埋めて標本にするのは良く行われますが、実際に行うと細かな骨は紛失したり破損したり、大きな骨でも土壌によっては分解や着色が起きます。そこで今回、FSNから晒骨槽を使った標本化を提案しました。晒骨槽での処理は肉や脂肪の付いた骨を水に沈め、洗剤や微生物の力を借りてタンパク質や脂肪分を除去する方法です。解体と並行してFSN薄井が大型トラックを手配し、解体し終わったクジラの全身の骨を倉敷から富士まで運びました。

富士市の晒骨槽で処理すること6か月、頭骨や椎骨など大部分の骨が綺麗な骨格標本になりました。脂肪分が特に多い腕や指の骨は、条件を変えて何度も処理を加え、全身の骨格が完成するまで約1年かかりました。この骨格標本は倉敷市立自然史博物館に納品し、2022年10月10日から特別展示されることになりました。

倉敷市立自然史博物館 特別企画展「倉敷にクジラがやってきた!」
https://www2.city.kurashiki.okayama.jp/musnat/spexhibition/2022/kujira/kujira.html





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