雲見くじら館のセミクジラ全身骨格標本の移転について

静岡県加茂郡松崎町雲見にある雲見くじら館には、セミクジラの全身骨格標本が展示されています。全長およそ15mにもなる大きなセミクジラの全身骨格は国内でも稀少ですが、展示施設である同館は老朽化がすすみ、標本に変色や脂肪分の漏出が発生していました。

そこでFSNでは骨格標本のクリーニングを行いたいと思い、雲見に通って標本の所有者である雲見温泉観光協会と標本の譲渡契約を締結しました。FSNの設備を使ってこの骨格標本をクリーニングし、欠損部位をレプリカで修復します。その後、令和8年に静岡市が清水区への開設を予定している「(仮称)静岡市海洋・地球総合ミュージアム」に展示する予定です。駿河湾の豊かさを示す資料として、そして駿河湾の「むかし・いま・これから」を考えるきっかけとして広く県内外の多くの方に観覧されることを期待しています。

雲見くじら館のセミクジラは、昭和52年4月15日に雲見港に迷い込み、砂浜に乗り上げて4日後に死亡しました。生きたセミクジラの座礁は世界的に例がなく、貴重な存在であることから骨格標本が制作されました。昭和56年に展示施設として雲見くじら館が完成し、館内には骨格標本だけでなく当時の道具や写真など貴重な資料も数多く展示されています。

「地域住民が守り伝えてきた貴重な骨格標本と資料を保存・活用できるようにしたい」

雲見温泉観光協会から相談を受け、FSNへの無償譲渡の契約締結に至りました。雲見くじら館の建物は今後も観光案内所や事務所として利用されます。 骨格標本の搬出や修復作業はこれからですが、クジラを大事にしてきた人々の思いに応えるとともに、若い人々に駿河湾の魅力と自然環境を伝えるため、新しいミュージアムにて綺麗になった骨格をお見せしたいと思います。

本件に関するお問い合わせは富士ストランディングネットワークまでご連絡ください。
電話 0545-67-1397(事務所)
メール fsn@kujira110.net

雲見セミクジラ標本について.pdf